秋入学を考えてみたい

 大学は入試シーズンの真っ最中。学生たちにとっては春休み期間中だが、キャンパスにはリクルートスーツの学生が目立つ。大学で就職活動の情報交換を行い、目当ての企業訪問や就職説明会に出掛けているからだ。
 研究室に立ち寄った学生によると、2週間以上も東京都内のホテルに泊まり込み、就活を続けている者もいるという。
 「就職氷河期」の厳しい就職戦線とはいえ、異常な状況ではないだろうか。昨年月からの後期授業も就活のため欠席する学生が相次いだ。学生にとっても、勉学に専念できる環境ではなくなっているのだ。
 この状況を変えるには、企業の一括採用、就職解禁時期の見直しが必要になってくる。東京大が秋入学への全面移行を表明して以来、九州大など他大学でも検討が始まっているが、これを機に卒業時期と採用時期を全面的に見直してはどうか。
 もし、秋入学になれば卒業も秋になる。就職試験が卒業後か、4年生の春以降となれば、大学の授業への影響も緩和される。企業にとっても、大学できちんと実力を身につけた学生を採用する方が得策だろう。
 さらに、秋入学に対応するために大学入試時期も見直してはどうだろう。東大は入試時期を変えない方針のようだが、厳寒期の入試では積雪などで交通機関が乱れる恐れがあるうえ、受験生が風邪などで体調を崩す心配もある。5月ごろに入試を実施すれば、万全な体調で試験に臨めるはずだ。
 秋入学は大学入試や企業の採用を見直すきっかけになる。この動向に、もっと関心を持ちたい。
(九大寄付講座教授、特別編集委員・溝越明)

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2012年3月

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 「新しい公共」の担い手とされながらも、運営資金や人材不足などに悩むケースが多い民間非営利団体(NPO)。そこで福岡県は本年度から、自らの事業収入を主な財源として安定的、持続的に活動に取り組む「事業型NPO」の育成に乗り出した。税理士が経営のアドバイスなどを行うほか、資金集めを支援しようとNPOへの投資・融資の場を設けるなど、全国的にも珍しい取り組みも始まった。担当する同県社会活動推進課の重松典子課長に狙いなどを聞いた。(武井良範)

 │事業型NPOとはどういうNPOなのか。
 「NPOは慈善型、監視・批判型、事業型の三つに区分できる。貧困やホームレスなどの課題に対し、寄付やボランティアをベースに支援活動をするのが慈善型。環境問題や人権問題などについて、独立した立場から企業活動や行政の動向を調査したり、企業や市民に情報提供や政策提言などをしたりするのが監視・批判型だ」
 「事業型NPOは、障害者自立支援を目的とした商品の製造・販売や、病児保育サービスの提供など、ビジネスの手法を取り入れながら社会的課題の解決に取り組む。一般的には活動全体の中で収益事業の比率が高い団体を指すことが多い」
 │なぜ、事業型NPOの育成に乗り出したのか。
 「NPOは新しい公共の担い手として期待されている。行政だけでやれることは限られており、NPOなど市民との協働は不可欠だからだ。例えば、終末期の患者が自宅で家族や知人、友人との最後の時間を安心して過ごせるように地域で支えるボランティアの養成講座をNPOと県が協働で実施した結果、在宅ホスピスのネットワークが広がるなど大きな成果があった」
 「NPOは行政の下請けではなく、行政のパートナーとしてさまざまな分野に活動の場を広げているが、資金不足や人材不足など悩む団体が少なくない。このため、経営感覚を持ち、自立したNPOを増やす支援をすることにした」
 │具体的にはどんな事業を行っているのか。
 「昨年月から月にかけ、社会的課題の解決に向けて必要なマーケティングや事業計画書の作成方法、経営などを学ぶセミナーを開催。1月には22団体が参加したビジネスプランコンテストを開いた。障害児の就職支援の提案など、審査員の評価が高かった団体に対し、これから税理士や中小企業診断士などが計画を実現するため具体的にアドバイスをする。また、外部から投資や融資を受けられるように、4、5月には団体が磨き上げた計画を発表する場も設ける」
 │経営面に加え、人材面での基盤強化も大きな課題だ。
 「ホームページの作成や営業ノウハウなど、仕事で培った専門スキルをNPOなどの活動に生かしてもらう取り組みにも力を入れている。専門知識を持った人にはボランティアとして登録を呼び掛ける一方、NPOには求めている支援内容を申請してもらう。これを基に、マッチングを行うことで、NPOのマネジメント力を強化しながら、NPOを支援する人材を増やしていく」
 「介護や環境、子育てなどの社会的問題は少なくない。解決を図るNPO、ボランティア、企業の存在は重要になっている。互いに協力し、支え合う共助社会の担い手として期待されており、しっかりと支援していきたい」

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地域貢献へ九大と本紙が連携

 九州大学と西日本新聞社は2007年9月、提携・協力関係を新たに結びました。両者の人材、機能を結び付け、双方の基盤である九州への地域貢献を充実させるためです。

 まず、07年10月から箱崎キャンパスの法学研究院で「分権型社会論」講座をスタートさせました。地方が直面している課題、分権、自治をめぐる最新の動きを取り上げ、より実態に即した授業を進めます。いま九州で起きていること、ニュースがそのまま教材になります。もちろん、新聞記事も参考資料として活用します。

 10年度は「分権型社会論演習」(ゼミ)、西日本新聞特殊講義を開講。特殊講義では、前期に「分権改革と地域」、後期に人口減少、地方分権、アジアをキーワードに「九州のあした」を探ります。

 このほか、大学と新聞社による共同プロジェクトを検討する予定です。